イワギリソウ(岩桐草)

Opithandra primuloides


イワギリソウ1


  • 科名・属名 : イワタバコ科 イワギリソウ属

  • 特徴 :
     草丈10〜20cmの多年草。
     茎は短く、葉を束生し、全体に軟毛が多い。
     葉身は卵形〜卵状円形、長さ3〜15cm、幅2〜10cm。先はやや尖り、基部は心形、縁には縁には大型の鈍鋸歯がある。質は厚く、有毛。葉柄は長さ3〜10cmと長い。
     花は葉腋から数本の花茎を伸ばし、散形状の集散花序に10個程度の花をつける。花柄は長さ2〜4cm。苞は広線形、長さ3〜6cm。花冠は紅紫色、筒状で横向きに咲き、先はやや2唇形、長さ約2cm。上唇は2裂、下唇は3裂し、裂片は長楕円形、外面に軟毛がある。雄しべは2個、花筒の側方の上側につき、花冠の外に出ない。仮雄しべは3個。花柱は長さ約1mm、柱頭はへら状で2裂する。萼は線形で5深裂し、裂片は披針形、長さ5〜6mm。
     果実(刮ハ)は広線形で下垂し、長さ2.5〜4.5cm、幅3〜4mm。

  • 分布・生育地 :
     本州(近畿地方以西)〜九州 (国外:日本固有)
     湿った岩壁

  • 花期 : 5〜6月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 1996年6月23日  島根県出雲市
    中上・全体2、以下全て(左下除く)    同  上
    (上、中上は拡大写真あり、写真をクリック)
    左下・全体3(サツマイワギリタイプ) 1997年5月11日  鹿児島県南九州市
    (左下は詳細写真あり、写真をクリック)

  • 撮影記 :
     やや湿り気のある岩壁に鮮やかな紅紫色の花が見ごろだった。
     その美しさから乱獲され、自生が見られる場所は島根県のこの産地をはじめわずかしかない。
     しかし、ここでも手の届く範囲にはなく、見上げる手の届かない岩壁に多くの株が花を咲かせていた。何とか探し、やっと撮影できる株を見つけた。
     美しい花で持っていきたくなる気持ちもわからないではないが、そっとしておけば増えてもっと素晴らしい光景をいつまでも見ることができるだろう。
     岩桐の和名は、白い軟毛がある葉の形や花の形が、キリに似ていることからつけられている。
     左下の花は南九州に分布する園芸的に「サツマイワギリ」と呼ばれるタイプで、学名は付けられていないが、花弁の先が円みがあるという違いがあり、可愛らしい花である。



  • 同じ科の仲間の花
イワギリソウ2

花

花・果実(刮ハ)

イワギリソウ3(サツマイワギリタイプ)