matumuraso

マツムラソウ（松村草）

Titanotrichum oldhami

科名・属名　：　イワタバコ科　マツムラソウ属

特徴　：
　草丈１５～７０ｃｍの多年草。
　茎は直立し、全体に粗い毛が多い。
　葉は左右で大きさ異なる葉が対生、葉身は歪んだ卵状楕円形～卵状長楕円形で、長さ５～２０ｃｍ、幅２～８ｃｍ。縁は不揃いの歯牙があり、表面には剛毛が多い。葉柄は長さ０．５～５ｃｍ。
　花は茎頂か時に葉腋に細長い総状花序をつけ、普通一方向に向かって花をつける。茎頂につく花は正常花がつくが、しばしば上部は不稔花が穂状につく。花柄は長さ０．５～１．５ｃｍ。苞は披針形で、鋭く尖る。花冠は黄橙色～黄色、花喉部に赤紫色の斑があり、筒状漏斗形で長さ約３.５ｃｍｍ、幅約１．５ｃｍ、基部はやや膨れて先が細く唇形で５裂し、裂片は円形、外側に腺毛がある。雄しべは４個、２個ずつ長さが異なり、花糸は糸状で花筒の基部に合着する。子房は軟毛が密生し、長さ約８ｍｍ、花柱は糸状で柱頭はやや肥厚し、先がやへこむ。不稔花は小さく、萼のみからなるか、多数の無性芽状の小体が密集して苞も脇につく。萼は５深裂し、裂片は披針形で鋭く尖り、長さ７～１２ｍｍ。
　果実（蒴果）は狭卵形で宿存性の萼に包まれ、長さ６～８ｍｍ、幅約５ｍｍ、毛が散生する。種子は多数あり、楕円形で両端に付属体がある。

分布・生育地　：
　沖縄（石垣・西表島）　（国外：中国、台湾）
　湿った岩壁

花期　：　７～１０月

撮影月日・場所　：
上・全体１　2008年8月24日　　沖縄県西表島
中上・全体２～中下・花２　　　　同　　上
(上、中上は拡大写真あり、写真をクリック）
左下・不稔花　2012年8月31日　　　　同　　上
右上・葉　2008年8月24日　　　　同　　上

撮影記　：
　じっとしているだけで熱中症になりそうな、蒸し暑い沢沿いの道。小さな上り下りを繰り返しながら島の最奥部を目指す。わずか５ｋｍ進むのに４時間近くかけ、やっと秘境といわれる西表島の最奥部にたどり着いた。
　お目当ての花はと見ると咲いている、それもいくつも花をつけている。不安と期待が一瞬にして喜びに変った。
　この花は、ツノギリソウによく似たイワタバコ科の花で、日本では西表、石垣島だけに知られている。
　ただ、数も少ないうえなかなか花をつけず、見られるかどうかは運次第と仲間から聞かされていたのだ。
　思う存分撮影し、気持ちは満たされたものの身体は正直だ。大量に持参した水も飲み干し、戻ってからのカキ氷をバネによれよれの状態ながら戻ることができた。
　後日地元の方から聞くとこの年は当たり年だったらしく、別の場所でも開花が見られたとのことだった。

同じ科の仲間の花