カタクリ(片栗)

Erythronium japonicum


カタクリ1


  • 科名・属名 : ユリ科 カタクリ属

  • 特徴 :
     草丈10〜20(〜30)cmの多年草。
     鱗茎は筒状長楕円形で長さ5〜6cm。毎年更新を重ね、新鱗茎が下につく。
     葉は普通2個、花茎の下部につき、葉身は長楕円形または卵形、長さ6〜12cm、幅2.5〜6.5cm。先は鈍頭〜基部は円形、時にくさび形。質はやや厚くて柔らかく、淡緑色〜黄緑色で、普通暗紫色の斑紋があり、無毛。葉柄は長いが、地下に埋まるため、地上には葉身だけが現れる。
     花は花茎の先に1個、下向きに咲く。花披片は6個、淡紅紫色〜紅紫色、披針形で長さ4〜5cm、上方へ強く反り返り、基部近くに蜜腺があり、その上部にW字形の濃紫色の斑紋がある。雄しべは6個、花被片の半分の長さ、葯は濃紫色で線形。
     果実(刮ハ)は円形で3稜形、果実が成熟する頃には花茎が焼く30cm程度に伸び、地上に倒れる。
     花の白いものがあり、
     ●
    シロバナカタクリ(f. leucanthum)(左下の写真)という。

  • 分布・生育地 :
     北海道〜九州 (国外:朝鮮、中国(北東部)、サハリン)
     山野の林下

  • 花期 :  3〜6月

  • 撮影月日・場所 :
    上・全体1 1983年4月3日  新潟県弥彦山
    中1・全体2 1992年5月9日  北海道旭川突哨山
    中2・群生1 2009年3月21日  新潟県弥彦山
    中3・群生2 1986年5月18日  新潟県佐渡ヶ島
    中4・群生3 2025年5月16日  新潟県南魚沼市
    (上、中1〜4は拡大写真あり、写真をクリック)
    中5・花 1995年4月1日  東京都清瀬市
    中6・果実(刮ハ) 2025年5月16日  新潟県南魚沼市
    左下・シロバナ 1994年4月24日  長野県諏訪郡
     右上・葉(斑紋有) 1995年4月8日  東京都南高尾
     右中・葉2(斑紋無) 1986年5月18日  新潟県佐渡ヶ島

  • 撮影記 :
     昔は片栗粉といってこの鱗茎からでんぷんをとって食べていた。今はじゃがいものでんぷんであるが。
     都市近郊に残されたこの花の群生地は、開花するとテレビや新聞に乗るほど春を感じさせる花である。
     太平洋岸や西日本で見る花は、右の写真のように葉に暗紫色の斑紋があるものの、佐渡ヶ島や北地では斑紋がないものが多い。
     群生することが多いが、北海道旭川北部の突哨山のこの花の群生は、何キロに渡って続き見事なものだった。
     和名の漢字表記は片栗であるが、実際は古名の「かたかご」が「かたこゆり」になり、それが転じて「カタクリ」になったもので、片栗の漢字は当て字ということになる。

  • 葉1(斑紋有)

    葉2(斑紋無)

    同じ科の仲間の花
カタクリ2

カタクリ3(群生1)

カタクリ4(群生2)

カタクリ5(群生3)

花

果実(刮ハ)

シロバナカタクリ